映画好きによる、映画好きのための集い。セブンシネマ倶楽部(池袋コミュニテイカレッジ)での映画「カツベン!」

を盛り上げて紹介する気持ちのイベントに出演させていただきました。

活動写真の発掘・発見!ようこそサイレントコメディの世界へ

前回の第一回の周防正行監督のトーク内容は、同サイトの動画で見られます。

主演の成田凌さんなどの活弁指導を担当された坂本頼光さんの登場は、イベントの中盤、第二回として開催されました。

坂本頼光弁士のブログリンク。スケジュールは、ツイッターの公式情報   

をご参照ください。

頼光さんの伴奏は、先週の国立映画アーカイブ「テンビ」から2週連続です。

セブンシネマ倶楽部は、映画好きの方にむけた会ということ、映画好きの方でも音のでない映画に活弁と生演奏というスタイルに馴染みのない方も多くいられるだろうし、トークの時間も設定箇所も多かったので、頼光さんはこのようなたくさんの無声映画全盛時代のポスターや資料、そして当時のフィルムなどにも白手袋をはめて実際に触っていただけるような準備を整えて臨まれていました。イベントのタイトルの「活動写真の発掘・発見!ようこそサイレントコメディの世界へ」という意図を本当に深くご理解されての頼光さんのご準備に頭が下がります。無声映画に今までご縁がなかった映画ファンの皆様の地元の古い倉などに、このような古い資料が眠っているかもしれません。一度、目に触れておくということが、とても大事なのだと感じました。こうゆう気づきをされる弁士さんが、坂本頼光さんなんだと改めて尊敬の念を感じております。

会場は、「池袋コミュニティカレッジ」で、池袋西武百貨店別館の8、9階2フロアにわたる広大な施設の中の音響設備付きの大教室。キッズ体操倶楽部からゴルフなど様々な設備のありたくさんの方がご利用されるロビーやエレベーターなどの各所に映画「カツベン !」のプロモーションが展開されています。

ご多忙な頼光さんなのですが、当日の昼過ぎからじっくりリハーサルをして、私にとってはもちろん、頼光さんにとっても初ネタの昭和の喜劇2作品については、ギャグ落ちや効果音のタイミングなど細かい調整を重ねました。

私も最近では、様々な活動写真弁士さんの伴奏をさせていただけているのですが、リハをするかしないか?事前に打ち合わせをするのか?ぶっつけ本番にするのか?については、作品によってだと思っていますが、弁士さんによっても変わります。そして、その弁士さんも、それぞれの伴奏者、演奏家、楽士によってそれぞれの対応をなさっているとのことです。どの弁士さんがどのようなということに関しては、各企業秘密ということで公言できませんが、頼光さんとは、以前、和洋両方の喜劇作品の共演経験があるので、工夫した効果音をリアルタイムで出すことができる私の楽士としての特性を活かした展開を考えていらっしゃると感じています。

そして、頼光さんと事前にお電話にて私も参加するトークコーナーについては、頼光さんのご指示で、「普段のありのままの私と真理さんのやりとりを紹介するようにしましょう。」ということになりました。

実際のトークの内容については、ご参加くださった方のみの貴重な情報ということにさせていただきますが、楽器の紹介のみをこちらではさせていただきたいと思います。

再演の「石川五右衛門の法事」において、頼光さんが、活弁をしながら自由に「鳴り物」として叩いた楽器。

初演時は、たくさんの楽器をウォッシュボードのように固定して「音が語る」を表現する趣向でした。今回は、「叩き語り」はないと思っていたのですが、リハ時に頼光さんがこちらをセレクトされました。(イベントトーク時には、頼光さんよりこの項を詳しく説明されていました。)

今回の楽士サイドに用意した効果音SE用の楽器、手作り楽器、鳴り物など。

トークでは、「いつもの弁士と楽士のやりとりの紹介」ということで、持ってきたけれどボツになって使わなかったもの、採用されたものなどの紹介をしました。同じポイントの効果音でも、私は、複数の提案をもって、弁士さんに選んでいただいて、話の筋にあった音を学ぶ機会を楽しみにしています。提案ができる引き出しを準備するために、これからも生活の中にある日常の音を演奏をしながらリアルタイムで再現できることは、今後も研究していきたいと思っています。

トーク時にご紹介し忘れたものを2点、補足いたします。

=左下の手の形をしたもの=

『天国その日帰り』の福引のガラガラを回す音に使用したものです。ガラガラ音を出す「ラットル」という楽器も、木製で3つ、プラ製を1つ持っているのですが、映像のガラガラが、とても大きな品物だったため、まわして演奏するのだと、回転とシンクロする音があわなかったために、手動でガラガラをポイントにあてられるこちらを使用しました。

=左下から2番目 赤いロボット=

使用しているキーボードは、電子楽器なので、いまだに経験はしていませんが、落雷など何かトラブルがあった場合、事前にプリセットした音色が飛んでしまう可能性があります。1コースに9音色をプリセットして、場面ごとに琴や和太鼓、オーケストラ音色を出しているので、何かトラブルがあっても、すぐに復旧できるようにデータをUSBに保存しています。なので、私の「お守り」君ですね。

各作品について、それぞれ素晴らしいトピックスがあるのですが、

それは、「セブンシネマ 倶楽部」のブロガーさんなどの参加者の皆様のご感想を楽しみに。そしてすでにツイッターにもいろんな声がありましたので、私のツイッターにリツイートさせていただきました。

無声映画の上映会では、作品の説明は弁士が行いますが、「トークコーナー」があることは珍しいと思いますし、楽士は裏方なので、マイクを渡していただけることは、本当に珍しいので、このイベントに参加された方と共有させていただいた時間は、私の中で大変思い出深いものになりました。終映後も、熱心なご質問などに、頼光さんが丁寧にお答えする姿もありました。

参加者の皆様の応援もありがたく、頼光さんの「サザザさんDVD」の隣で物販したベトナム・モン族の口琴の実演販売は、完売!恐縮する方にもお買い上げいただき、興味を持っていただけたことを光栄に思っています。

『作品』について。

私がトークで他にお話させていただいたとおり、このイベントは、映画「カツベン!」を楽しく見ていただくこと、公開を楽しみに待っていただく間に、少しでも多くの活弁、生演奏付きの無声映画をみていただくことにつながれ!という気持ちが第一にあることと肝に銘じ、音楽デザインをしました。

一番、映画「カツベン!」への尊敬とオマージュに溢れたものは、「天国その日帰り」。以前、頼光さんとは、同じく巨漢キャラのロスコー・アーバックルの作品で共演させていただいた事があり、音楽面でのキャラクターはすぐにイメージすることができました。この作品をみた後で、映画「カツベン!」をご覧になった方が、「あ!」と思っていただければ本当に嬉しいです。

『私のパパさん ママが好き』は、主題歌が3回歌詞付きで登場するのですが、そのうち2回は、レコード再生という状況なので、私が、同じ再生速度にてレコード歌手っぽく歌唱。最後の1回は、映画を見た人のお楽しみ設定にて、頼光さんが演出をもって歌唱という分担をあらかじめ相談しました。そして、ある場面では、同速度で再生することでの不具合が私の方で見つかり、そこを事前打ち合わせで相談して解決したのですが、そこについては面白いので「トークで話そう!」ということになっていたのに、盛り込めませんでした。いつか、再演の機会があればトークも含めてご披露したい素敵な箇所です。

「石川五右衛門の法事」は、前回上映時に決めた「あちゃらか」(あちら風という意味。世界各国の文化を楽しむ)をさらにわかりやすく磨きあげました。お客様も、あの効果音は楽士と弁士がどっちが出しているのか?と確認する暇もないくらい場内は大爆笑の渦でした。

文末ではありますが、

今回のイベントにつきまして、池袋コミュニティカレッジの関川さま、松本さまに大変お世話になり、感謝に絶えません。

お二人とも、それぞれ頼光さんの「メトロポリス」や、私も共演させていただいた国立映画アーカイブの「テンビ」、「弁士サミット」にも足を運んでいただき、様々なお気遣いをいただきました。お二人ともとても明るいお人柄で、暖かく迎えていただきました。

池袋の西武百貨店は、祖母が大塚に住んでいたので親しみがあり、こどもの頃には屋上の遊園地で随分遊ばせていただきました。サウンドチェックや下見を兼ねた1回目のイベント参加時など、懐かしくデパ地下を巡ろうと思ったのですが、広いなぁ〜と思いました。また、改めてゆっくり家族へのお土産食品を物色しに足を運びたいなぁ〜と思いました。

以下は、告知時にリンクしたものです。

 

 

喜劇映画のビタミンPART6~音が語る無声映画京都国際映画祭2017

セブンシネマ倶楽部11/23

弁士:坂本頼光

楽士:坂本真理さん

カツベン!ライブ。 昭和初期の傑作コメディと坂本弁士自作アニメを上映!

大正時代の映画館を舞台にした新作映画『カツベン!』紹介と製作に協力した現代活動写真弁士のライブを行います!