2024年5月31日に新宿武蔵野館で行なわれた朝から晩まで「カツベン」三昧、無声映画を生のカツベンと生演奏でお楽しみいただける第4回カツベン映画祭にて、第1回から連続してAプログラムを担当する楽士の楽曲、音楽解説です。
無声映画は、チャップリンなど洋画もあれば、日本初の邦画も数多く残されています。活動写真弁士さんたちが、洋画でkissシーンがでてくるような愛❤️を語ることもあれば、チャンバラで名調子🎵もこなされるので、楽士も当たり前のように「できますか?」と聞かれることもなく作品名を告げられて、私の場合は、はじめのうちは玉川太福さんの浪曲講座などに通ったりして、「和」の要素を耳で覚えて引き出しを増やしてきました。
音階(スケール)について
あけぼの音階(曙調)
今作では、主に3つの音階を使い分けています。
最も「和」っぽく聴こえるのが、「あけぼの音階」
シンセで和楽器の音色をいくつか出しているのですが、尺八、篠笛(しのぶえ)、田楽笛などをよくプリセットしています。笛の各や用途など、リードのあるなしなどは、とても私には網羅できないのですが、せめて音階のルールくらいは、がんばってみようと思っているところです。
最近では、カリンバにも特定の音階(スケール)で演奏しやすい工夫がされているものが流通しているので、わたしの教室「むらさきmusicラボ」や、月1の保育士研修でもカリンバ演奏、スケール演奏の質問が増えてきています。私がよくやるるは、アフリカンな音階にチューニングをすることなのですが、チャンバラ活劇での演奏では、そんなスキルを活用して、いろんな音を抜いて弾けば良い!という「引き算」戦法、ならぬ旋法で演奏をしています。
みやこ節音階(都節音階)
みやこ節音階は、日本の児童唱歌などで使われているスケール(音階)だそうです。私感だと、ちょっと西洋音楽の影響を受けていて、属和音などの終止形のある曲も多いと感じます。演歌っぽいとも感じています。
大人が音楽で遊ぶのに、流行りの曲や、今の心情をなんでも「みやこ音階」にしてみる〜というのをやったことがあります。なんでも昭和になって、懐かしい気持ちがします。本作では、父と娘のちょっと切ない気持ちの場面などは、こちらのスケール(音階)を多用しています。
全音階(ダイアトニックスケール)
私を含め、ピアノを弾く人々が普通に弾いたら全部このスケールになります。西洋音楽っぽい感じの音階です。今作では、オーケストラ音色は、4種類入れているのですが、オケの音がでてきたらこの音階を使っています。
音色紹介
和楽器
今作では、琴2種類、三味線とおはやし楽器のコンビ、和太鼓数種類、田楽笛と田楽囃子のコンビを入れています。それぞれのボリュームも、あらかじめ決めてプリセットをしています。
トランペット
「暴れん坊将軍」「必殺仕事人」など、テレビの時代劇には、トランペットを効かせることが多いですよね。弁士さんによっては、作品中の時代情景とともに、公開年の音楽背景を気にされる方もいらっしゃるのでお伺いをたてつつなのですが、今回は、初稿の録音(LINEでオーディオインターフェースを通した デジタル録音)をお届けして問題なかったので、ここぞ!という2回のみ。トランペットがでてきます。
クラシックギター
シンセに入っている琴や三味線も、普通に鍵盤で弾けば西洋音階の曲も演奏可能なのですが、そうすると安っぽくなってしまうので、そんな時にはクラシックギター音色にすると、「昭和」な感じでまとまります。テレビ時代劇では「鬼平犯科帳」で、ジプシーキングスの「インスピレーション」をエンディングテーマにしていて、私はこれが好きです。
シンセサイザー
使用機種
私は、楽士デビューの2016年からずっと、低価格で扱いやすいシンセをカスタマイズ(和楽器や民族打楽器の音色を別購入)して使い続けています。
2台を自宅と仕事場にそれぞれ置いて、USBメモリにその日の調整を記録して、同期させています。現場にも、事前に搬入してもらって、当日はUSBを持参して調整をしています。
琴や三味線、尺八では、左端のレバー:スライドコントローラーを使うと、リアルな揺らぎ、息遣いのある音にアレンジ可能です。
1年に1回くらい、ピアノだけで演奏したり、大ホールでの演奏では、グランドピアノの上にシンセをのせてダブル演奏をしたりさせていただいています。
2024の鞍馬天狗 后篇は、リレーカツベンでお届けします。
若手男性弁士お二人のエネルギーに負けないように、エネルギッシュに演奏できたら嬉しいです。
わたしが楽士になったいきさつなど、ご興味があればこちらから。