発表会休み期間は、大人の方やオンライン、映像収録のみで、小学生や幼児がくる通常のクラスなしで、ゆったりと、次年度の準備や、お約束していたものたちにじっくりと取り組んでいっています。その中で、ここでは、前項の「空き缶ガンザ」に引き続き、「空き箱のシェイカー」と「手作りマレット」「リボン」などについて、ご紹介していきたいと思います。すでに配送済みの作品もあるので、私の思い出スナップでもあります。お付き合いよろしくおねがいいたします。

 

私は、いろんなメーカーのシェーカーを所蔵していて、それぞれの特徴についてもプログラムでも紹介をしていっているのですが、その中でも「シュラグベルグ」社(カホンで有名な→ロゴの会社)が、正方形なのに、不思議と縦、横の持ち方で音程が変わるものを出しているものを重用しています。異なる音程を出す方法としては、カシシを使うと底面と側面で音がかわるのですが、安価に製作できるものであれば、もっと気楽に保育園などでも使用できて、こどもたちの科学心、実験心にも響くと思っていました。

カロリーメイトの小さな箱が、ちょうど縦横の比率的にも、こどもの手に収まるサイズ感もぴったりだったので、中身の音の実験をして、スピード感をきめるちょっと大粒のビーズ (緑のビスケット)をメインに、それに付随するビーズ を音色を確かめながら準備しました。

左の赤いビーズ は、全体のグルーヴ感を出すために少し多めに入れていきます。シェーカーも、ガンザも、ちょっと重すぎるかな?くらいの量がないと、ブラジル風に4拍目を強拍にするアクセントがつきづらいのです。保育園でも、年に1回は、必ずサンバをやる私としては、保育園の置き楽器にするにしても、いざという時に使える楽器にしておきたい思いがあります。赤い小さいビーズ は、リサイクルショップで安価に買ったネックレスを解いたものです。新品のビーズ を100均一で買うより安いので、このような「中味」として大量に使う用に、見かけたら購入して解いてストックしています。

紙素材でつくるシェーカーは、牛乳パックも良いです。また、紙の箱では、お菓子の箱よりも、薬や栄養食品の箱くらいの厚みのあるものが良いです。目安としては、ティッシュの箱よりも厚い、硬いって感じです。

マスキングテープも、私は本当にたくさん持っています。センスがわかってしまうというドキドキ感もありますが、こどもが手にとるというのは、なかなかのハードルが高いものです。地味でも、何かを訴えているような佇まいのもの、妖怪にも通じる「これは!」という存在感のある楽器づくりを目指したいところです。

 

デザインのことは、さておいて、紙箱でのシェーカーで最も大事なことは、角の仕上げをきっちりすることです。少しでも隙間があると、小さい粒がでてきてしまい、また、挟まってしまうことで音の流れが止まってしまうので、いつまでもサラサラとビーズ が動き続けるように、角はナチュラルに既製品のように仕上げます。完成品は、配送するセット一覧の方でご紹介しますね。

 

話はかわって「リボンの巻」です。

リボン

浅草橋のリボン問屋さんで、ひと袋¥200の「福袋」を2個買った中身と、LINEを登録したりしてもらったノベルティの成果がこちらです。

早速、夏の外部講習で使うもの。9月のテーマの「オリジナル楽器実験室」で使うもの。シェケレの上糸に使うものなど、当座の使用予定のものをどんどん自宅アトリエコーナーの仕分け棚に寄り分けていきます。短いものや、カテゴリーが浮かばないものは、ラボの自由工作の棚に入れておくと、こどもたちが素晴らしい使い道を教えてくれることでしょう。

 

そんなこんなで、遠方のオンラインの生徒さんに送る教材セットが完成したので、そのまま配送しました。左から、両面サテンの新体操風リボン 木の玉マレット オーガンジーのリボン棒 手作りマレット「きのこ」手作りマレット「白玉」 お箸マレット毛糸シリーズ お箸マレット水ヨーヨー お箸マレット フェルト玉 空き缶ガンザ 紙箱シェーカー(うっすらと黄色くカロリーメイト感を出しているのは、これなんだ?のクイズができるかなぁ?というひとネタ提供のため)

同時進行で、保育園のプログラム用のマレット、バケッタたちも製作しました。

先端の丸い素材も大切なのですが、それよりも大事なのは、棒の長さだと思っています。大人むけの長さのものをそのまま使うと、こどもにとっては長すぎるので、すぽっと手からすり抜けて飛んでいってしまうなどの事故になりがちです。上の写真には、大人用の通常サイズのものがひとつもないので、比較が難しいのですが、こども用の箸でつくった「お箸マレット」を基準にこども用のサイズをご想像ください。

また、ネーミングについても研修等でご質問いただいたているので、こちらでも説明をさせていただくと、保育園や公共施設でのワークショップでは、ほとんどが生まれてはじめて「ジェンベ」「スルド」などのいわゆる本物の楽器に触れることになること、そして、私が積みこんで運んでくる楽器たちは、ブラジルやアフリカなどルーツがそれぞれバラバラなので、言葉のイントネーションにも関連性がなく、はじめてだと聞き取りも難しいものです。保育園リトミックでは、お迎え時の保護者説明用に楽器の名前を写真に添え書きした掲示物を用意しますが、文字が読めないこどもたちや、現場でアシストしてくださる先生方に負担をかけないために、私は、その場ではわりきって、楽器の名前にはあまり拘らずに、オペレーションが必要な場合には、「ハンバーガーマレット」「ベッコウ飴マレット」など、太鼓に添えておくマレットに誰でもみてわかる名前をつけています。

3列に並んで、順番に太鼓を打つような場合、

「自分は、今、ハンバーガーに並んでいる」

と、理解させてから並ばせることで、フラフラマンを大量発生させることを防ぐことができます。

この項をお読みいただいているのは、ほとんどがこどもに対応する経験をお持ちの方が多いと思うのですが、こども向けの「音楽ステージ」においては、音楽の専門スキルはあるけれど、「こども」に関しては、プロ対応をしない派という方もいらっしゃることと思うのですが、元園長のまり先生としては、ひとつだけお願いしたいこと、譲れないことがあることも、ここでお伝えさせてください。

それは、「不公平」にならない配慮をお願いしたいということです。巷では、いわゆる「神対応」と言うらしいのですが、会場のルールなどに反していたり、順番に並んでいる列などを無視して、突如、一番美味しくて、お得な位置にふらりと現れてしまう子が出現してしまうことがあります。私たち保育者は、先生の話をちゃんと聞いて、言われた通りに背の順、誕生月順、縦割りのペアなどの役割を果たした上で順番を待っている子たちを優先します。早いもの順に並ぶという時には、ちゃんと先生の目をみて話を聞いている子は素早く列に並ぶことができるので、早いもの順も利にかなった公平性を持っていると私は感じています。そこで順番抜かしや、わざわざ先頭に横入りをするような子がいた時には、どうかその場のジャッジは、保育者に一任をしてほしいと思うのです。

SNSでは、「珍入者」を特別な配慮で優遇することが、もてはやされる風潮がありますが、その場でミュージシャンたちが、優しい声がけをして特別に扱ってしまうことで、その後の保育下では、それを静観していたこどもたちを先生たちはケアしなければいけません。ルールを守って、先生に協力をしてきたその他のこどもたちのこと、その後の通常保育を想像してあげてほしいなぁという場面について、ついひと事、申し上げてしまいました。

むらさきmusicラボでは、プロミュージシャン むけにも、「こどもの年齢発達」や、音楽的な理解度、身体を動かす際の可動域などを考慮した簡単なダンスの振り付けなどのご相談にも応じています。

無限の可能性をもつこどもたちの音楽と世界のリズムとの出会いをサポートするような楽器づくり、プログラム制作に、今後も邁進していきたいと思っています。