『チューニング可能なカシシ』『オリジナル楽器実験室』(ウォッシュボード)』に引き続き、むらさきmusicラボpresentsの新しいコンテンツが、この夏デビューしました。

ネタおろしは、毎年講座に呼んでくださる「松枝ぴあの」様にて。

毎年私の講座に欠かさず出席してくださる生徒さま、浜離宮ホールでの発表会時にピアノ連弾にパーカッション伴奏をさせていただいた生徒さま、新しく入会された生徒さまなど、主に目的は「夏休み自由研究」としてそのまま提出できる製作物とレポートのためなので、学年の小さい生徒さんでも、マイカメラ持参で熱心に受講されている様子が印象的でした。

こちらに、フォローアップのための詳しい説明をさせていただきたいと思います。

1)サウンドスケープって何?

書き込み式のワークには、あらかじめについてレーモンド・マリー・シェーファーについての紹介を記してあります。リンク先は、ウィキペディアです。

私の大切な教科書。

こちらは、ただいまアマゾンでは、プレミア商品のようです。

2)曲ってどうやってつくれば良いの?

皆さんがご存知のように、耳で聞こえる音は、音楽以外にもいろんな心地よい音、綺麗な音があり、それを表現する手段は楽譜だけではありません。

ベートーベンなど大作曲家は、新しい時代を切り開き「田園」などの表題音楽として、メロディのある音楽として風景やいろんな自然の音を表現しようとしていました。

ポイント  ここで、「自然を表現した交響曲」など、自分で例を調べてみよう!

大作曲家たちは、メロディで、例えば、

1川のせせらぎ

       2風の方向性

       3近くで遊んでいるこどもの遊び声

などの要素をメロディ化して作曲しています。

 

これができるから「天才なんだ!」で終わらせずに、

じゃあ、自分だったらどんな自然などの情景を音で写し取って表現したいかな〜?

と、その方法と手順を分解して体験してみよう!ということをこれからお伝えしていこうと思っています。

3)図形譜

これは、私が描いた図形譜の要素、アイテムです。

私は、作曲をするときに、作文をするように、このようなアイテムを音楽のセオリーに基づいて、並べているイメージでいます。

作文だったら、皆さんも学校でたくさん経験してきているので、書きたいことさえあればなんとでもなるでしょう。

それと同じで、作曲にも練習が必要です。

 

4)サウンドスケープキット

バイエルのように基礎の基礎から「イマジネーション」を沸かせる創作の練習のステップが創作、作曲をするには必要だと思っていました。

でも、なぜか日本では、ピアノがちゃんと弾けるようになってから、理論として作曲を学ぶ人が多かったり、反対に「鼻歌でつくれる」くらいのかなりハードルの低い組み合わせだけができるアプリなどもあるのですが、こどものみずみずしい感覚をメロディやリズムに変換する術に着目する余裕がないように思っています。

そこで、小さな子たちが、おままごとやブロックで理想の秘密基地やプリンセスになれるお城を手を使って考えるようなミュージシャンむけの想像力を助ける装置を発明しました。(拍手)

5)テーマを決めよう、または遊んでそれを発見しよう!

講座でも取り上げましたが、輪ゴムの鉄棒部分は、穴と穴の距離によって、テンションがかわるため、輪ゴムから発せられる音程は変わります。

今回は、高学年のみなさんは最初に「テーマ」を決めて、そのテーマに近いものをキットを使って発見するという作業をされていました。

方法としては、もうひとつ。

テーマが決まらない場合は、手をつかて遊びながら、考えれば良いのです。そして、ひとつ、気に入った音を見つけたら、その音と仲良しになれそうな音を探していく。

そんな音のパーツをつくり、できればそれを演奏に活かすような図形譜をつくってみましょう。

ポイント 自分が講座考えたテーマ その理由 ぴったりな音を見つけた気持ちなどをまとめてみよう!

6)パーツを並べよう

パーツを並べてみます。

同じものを2回目に再登場させると、それは、「再現部」という音楽の構成としては、とても良いものになります。

ひとつのパーツがひとつずつとは限らないのが、音楽の楽しい点だとお思います。

平等、公平でなくても良くて、

主役は好きなだけ目立って自分勝手で良いのです。

何だったら、好きなパートナーを1番と2番で変えても良いのです。

)

ポイント 講座では、順番通りに登場させるだけの初歩ステップでした。これをもとに、自分で考察するときには、主役=メインのメロディとして、誰を(どれを)選ぼうかなぁ〜というワクワクをぜひ体験してみてください。

7)ちょっと休もう

「サウンドスケープキット」には、ブリキのミニカーがついていましたね。これは、音楽でいうと、

1番と2番の間にある「間奏」を象徴するものです。

ガンガンに熱いメッセージだけではなく、ちょっと視点を変えるのです。

曲としては、そんなスパイスがとても重要な役割をします。そして、それは楽しいものです。

8)基本キットのおもちゃたち

サウンドスケープキットにある基本グッズの多くは、街の駄菓子屋さんや、100均一で売っているものです。しかしながら、親御さんにしてみれば、「こんなものを買って!」と、まずは買ってはもらえないものだし、自分のお小遣いを使ってまで買うものではないものかと思います。

私は、幼稚園の園長時代からいろんな良いおもちゃについてずっと研究をしてきました。研究というのは、こどもたちに良いおもちゃを与えてじっと観察し、どんな遊びがそこからできるのか?を知ることです。

良いおもちゃとは、発展性があって、いろんな世界が広がって遊べるもの。ただのおもちゃは、すぐに飽きてしまったり、ひとつの遊び方しかできなかったり、テレビの番組放送がおわると、古くなってしまうものです。

そして、これらのおもちゃには、定番とかいつもネットで買えるものではありません。気まぐれのようにある日店頭にあって、買えたら買うというものです。いずれも小さな生産者、ラインですので、もう2度と生産されないものもあるのが、これらの安いおもちゃの世界です。

いつか、私が、「マツコの知らない世界」に「マツコの知らない安いおもちゃの音の世界」に出演することがあったら、ぜひ応援してください。

9)やるな!君たち!なグッズだち

良い音がするオプショングッズたち。

タネは、ドラムのスネア太鼓のようなものから、ゲリラ豪雨のような音まで、音の宝庫です。

風船も、いろんな奏法がありましたね。

ポイント 紙風船の奏法 早くつぶす(クラッシュ)、しずからにしぼめる、紙風船として打つなど、まとめて紹介してみよう!

ポイント 缶は3つくらいの音で高い、普通、低いがあると、豊かな表現がやりやすいです。家の中にある、いろんな缶の音を確かめよう!

〜ホールトマトの缶など、外側の紙が外れやすいものが音が良いです。

〜蓋があるものは、蓋に穴をあける、または少し開けるなどの「サウンドホール」の役目をする工夫をしてみましょう。

 

ポイント 例えば、ギターやバイオリンの「サウンドホール」などについて調べてみよう!fという字の形が有名ですが、時代によって変わってきています。ルネッサンス時代のリュートのサウンドホールと比べるととても面白いよ!

10)参考文献

これらは、私の参考文献です。

絶版されたものもあるのですが、

青山クレヨンハウスの遊べる2階の楽器のコーナーや、1階のパネルシアターが売っているあたりに、保育士さんや幼稚園の先生むけの図書があるので、そのあたりに、似たような「音楽あそび」の本があるかもしれません。

でも、「あそび」は、きっとあなたの中にあると思います。

本のとおりにやってみたら、それは「お勉強」になってしまいますよね。

いろんな本がでていますが、それはそれで見る機会があったらみたり、ヒントが欲しい時にめくれば良いことと思います。そうゆう本を書いている人はみんなきっとやさしい人なので、

「私の言うとおりにしないといけません!」

とは、きっと言わないと思いますよ。

 

11)まずは「好き」を見つけよう!

この活動における志は、決して「音楽」だけのものではありません。

日本の学校では、小学生から高校まで、「教科書通りに知識を覚える」ことと、それをテストされることを繰りかえしいるけれど、大学生になったり、社会人になると、

「アイディアを出して」

と今まで、アイディアを出す練習をしていなかったのに、それを要求されるということになっています。

生物多様性が世の中なので、それぞれが自分の得意なことを見つけて伸ばしていけば良いのだと、私は強く思っています。

「サウンドスケープキット」を使ってみたら、簡単に「アイディアを出す糸口が見つかった」という感覚をつかんでくれる人がいたら、それはとても嬉しいです。

 

幼稚園園長時代、毎年運動会の前には、「自分の好きな国旗」を選ばせて描いていました。

こんなところにも、「自分の好き」を見つけられる子と、「まわりに流される子」がいるものだなぁ〜と思ってかかわってきました。

 

「サウンドスケープキット」でつくられる音は、元はおもちゃなどなので、やっぱりチープにできています。でも、その中で、皆さんは、「好き」な音をたくさん見つけていたと思います。

いろんなこどもをみてきましたが、まずは、その「好き」を自分では見つけられない人もいるのです。

今回参加をされた皆さんは、そこで困っている人はあまりいなかったような気もしますので、大丈夫!

自分の中のアンテナ(好きなものを感じる感性)を大事に、たくさんの『好き=スパークジョイ=ときめき』

を見つけて、並べてみてください。

*************

講座の対象者でない方でこのページをご覧くださった皆様、ご高覧を感謝いたします。ラボでも個別に対応できますので、ご興味がありましたらご相談ください。外部出張も承ります。

「サウンドスケープキット」材料費¥1500(穴のあいた板、M4の様々なネジ・ビス・ワッシャー等、風車、風船、選べるタネなど…)

受講料、開催にかかる経費などは別途