シルバー層をメインとした公民館市民大学講座を4回連続講座にするにあたって、最大の目的は、4回通しでフルで通っていただく、途中で心が折れない講座にすることだと心に留めおきました。

ベビー、幼児、学童、学生、親子、一般、そしてシルバーとおかげさまでほぼ全ての年代にリトミックを教えた経験を蓄積することができました。

そして、どのような講座でも1DAYのものよりも、連続講座ではより心を砕き、「次につながる意欲」を育てることが必要だと感じています。

そんな見通しをもって、第一回を「リズムクエスト」(様々な楽器体験)、第二回を「オリジナル楽器実験室」(楽器づくりを通して、日用品や珍しい楽器の音に親しむ)として、リトミックの外郭を埋めるように、「動き」に関しての「必然」を固めてきたつもりです。

リトミック初心者の方に、

「さぁ、リトミックは素晴らしいものです。動いてみましょう!」

と、背中を押す方法はいくらでもあると思います。「動きましょう」と言われて、すぐに自分の動きを見つけられる人は良いのですが、まわりをみてきおくれをする人もいると思います。ましてや、「リトミックを学ぶために集まった」グループではなく、「市民大学講座」としてカリキュラム内でのコース受講をされている皆様に気持ちよくコンプリートしていただくために、

「リトミックのアクティビティに参加し、経験を積むだけでレベルアップする『クエスト』」

という説明をしてスタートした本講座です。

さて、ここでいよいよ「動き」をメインとしたアクティビティを盛り込むのですが、ここでも作戦をたてました。

・音符積み木

・クレヨンと長い紙 サウンドスケープ楽器(音を線で描く)

・ぬいぐるみ(アバター)

・蝶の羽、新体操リボン

・ローディ(馬のおもちゃ)

・カホン、キューバンカホン、マリンブラ、ギョメ(打楽器)

・ひとり1個タンバリン

一つ一つのアクティビティは、短時間です。ひとつ苦手なものがあっても、クヨクヨする暇もなく次の課題がはじまります。前々回「リズムクエスト」前回「オリジナル楽器実験室」では、じっくり、ゆっくりとむきあっていたリズムとスピードを、慣れた3回目でアップテンポだけれども、なんとかついてこられるくらいにみなさんは成長されたと思います。

あっという間の前半1時間が終了し、机を片付け、椅子もシアタースタイルに配置を替えて、後半のスタートです。

スクリーン、プロジェクターを使用しての音楽史を石器時代から20世紀までを生演奏と画像をみながら、エンターテインメント方式で振り返るショープログラムです。

キーボード音色も銅鑼、ハープ、各時代の鍵盤楽器、オーケストラなど歴史に歩み寄った音を右手と左手、それぞれに割り振ってアンサンブル演奏をしています。画像のオペレーションも、iPadでセルフで行って、あんちょこのMacBookAirもだぐってのワンオペです。

私はリトミックを語る上に、歴史は欠かせないと思っています。リトミックが生まれた歴史背景には、理由があると感じているからです。また、私のもうひとつの専門である無声映画も、リトミックとほぼ同じ年代のものでもあります。

「極地探検」14分1912 仏

監督・主演ジョルジュ・メリエス

「チャップリンの消防夫」18分 1916 米

監督・主演 チャールズ・チャップリン

協力 いずれもマツダ映画社

 

無声映画のコーナーの後は、みなさん待望の「絵や写真からの即興演奏コンサート コーナー」です。

私の宿題でのサンプルが「ケーキ」だったので、みなさんチラシやスマホの画像など、さまざまな努力と準備でお菓子やステーキのビジュアルを用意してくださいました。

弾きやすかった「銀座のケーキ」は、即興で歌に歌詞もつけて物語調にできたので、たくさんの拍手をいただきました。

 

第三回の「音と動き」のプログラムでは、

クレヨンで線を描く「美術的」なアプローチもあれば、

「リズム積み木」で算数のような側面もありました。

「蝶の羽」などをつかっての「プラスティックアニメ」(動的造形)は体育的かもしれません。

「まるっと音楽史」は「歴史」、

無声映画の「映画鑑賞」、

そして、即興は「国語」「創造的な活動」ですね。

 

リトミックが生まれた時代は、「リベラル・アーツ(総合藝術)」の考えが浸透した時代でもあります。

私は、幼稚園の幼児教育で、科目の分担のない世界で長年勤務をした経験があり、こどもたちになるべく広居範囲の窓を開いてあげたい気持ちで、様々な分野の吸収に努めてきました。

「音と動き」をテーマとした1プロラグムを振り返ると、色にするとマルチカラーのような彩りを感じます。3回目にして、前半のみですがいろんな身体の筋をのばして表現活動もしていただけました。

さて、いよいよ次回は最終回。

みなさんもコスチューム参加で賑々しくご登場いただきます。

まり先生だけではなく、楽団「ぺとら」とともに世界旅行をテーマに楽しいひとときをおくりましょう!