2023年6月21日(水)

本日は、「外部園の保育士さんむけ」の企業研修をさせていただきました。

1)0~1歳 ベビーリトミック

2)2~年少児 音を線で描く活動

3)全体で読み聞かせ「たまごにいちゃん」

4)年中、年長児 音を線で描く活動

5)実践研修 ステップ 記憶 スキップなど

6)フィードバック カンファレンス

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今日のは、遠方から4名(定員満席)の先生方が参加をされました。

すでにご自身の園でリトミックの実践をされている先生方も多く、ご自身の指導をされた上でより向上をするためにはどうしたら良いのか?という成長への道標を求めている方が多かったので、良いディスカッションができました。

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①Aさんより

Q「0~1歳児のリトミックでは、どのようなことを目的とすれば良いですか?」

A~まず、よく市販のリトミック教本にあるような「絵に書いたようなリトミック」は、私の経験上では、ゼロイチの子たちでは不可能と思っています。3歳以上が言葉で導くのに対して、2歳以下の子へのモチベーションとしては、「教える」よりも、「音を感じる細胞を増やすことに貢献する」という姿勢でいます。「教える」というよりは、「体験の場を提供する」サービスとイメージすると良いでしょう。

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Q「手拍子で応えるような活動について詳しく教えてください」

A~まずは、前提として、リトミックの三大要素は「ソルフェージュ、リズム運動、即興演奏」なのですが、私の実践している園などの一斉保育下でのリトミックでは、「ソルフェージュ、リズム運動、メイン活動&お楽しみ」という3つの柱で構成していっています。そのような構成で成り立っていること。先ほど、こどもたちと行ったのが「ソルフェージュ」の枠の中での「手拍子」という位置付けを提示します。

手拍子は、クラップをすることが目的、結果ではなくて、「耳」をすまして、私が先に打ったリズムを記憶して、その通りに再現をするという活動です。それについてのコツ、拍子を意識した声かけ、BPM(速さ)にも言及しました。

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②Bさん

Q「読み聞かせの実践について」まり先生は、即興で絵本を読み聞かせながら、ピアノを弾いておられましたが、即興ができない人は、楽譜を用意して、それを暗譜して弾くなど、どのような手順で成立させていくと良いでしょうか?

A まず、楽譜を用意して暗譜して弾くのと、即興演奏の違いについて説明しますね。例えば、私がよくやる即興のWS(ワークショップ)では、カフェのメニューや、印象的な絵柄を受講者さんに用意をしてもらって、それをなんでも私が「即興演奏をする」というのを聴くことで、二次元のもの、イメージだけのものを音、リズムが加わって音楽に置き換わることを体験してもらっています。

対比して、作曲は、そのとおりに再現されることを前提に、誰が弾いても同じになるように譜面に書いていっているわけです。

本日の読み聞かせでいえば、絵本を読みながら、こどもたちの反応なども加味しながら、その場でこどもたちと一緒に感じたことを私は、ほとんど自動的に弾いているだけという感覚です。自分自身では、考えてもいません。ただ、感じれば自然と言葉と同じように、指から音楽に変換されていきます。

このような技術を会得するために、「キーボードハーモニー」というワークを重ねていくことで、メロディとハーモニーがどんどん湧き出るようになります。「コツ」があるというよりは、それが楽しいあそびとして経験を蓄積していくうちに、できるようになる感覚です。

わたしは、たまたま即興も得意で、ピアノも喋りながら弾くことができるので、読み聞かせをしながら弾いています。

即興でなくても良いと思います。ひとりが譜面を用意して、ピアノを弾く。読む担当。それに、小道具担当の人で3人体制であれば、わたしの今日の読み聞かせは実現できると思います。ビデオを撮影されたと思うので、それぞれの園で、このような「音楽付きの絵本読み聞かせ」の輪が広がると、こどもたちも集中して「話を聞く」習慣が成長しますので、応援していきたいと思います。

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③Cさん

Q「小さい子たちむけの楽器について教えてください」

A「2歳までの子たちには、特に自然な優しい音色を体験させてあげて、そうゆう良い音を聴き分ける耳の細胞を増やしてあげたいですね。カシシ、シェケレなどの振る楽器で遊んだり、カリンバの音に耳を傾けたり。安物、あまり音がよくないものを適当に与えると、かえって投げたりなど、楽器を大切に扱わない癖がついてしまうので、気をつけたいですね。」

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④Dさん

Q「リトミックをグループで指導する場合のチームワークについて」

A「自分がリトミックを教える活動だけではなく、コンサルティングとして園でのリトミックの立ち上げ、年間カリキュラム作成を手掛けたり、リトミック指導者むけの講座をしている中で、チーム保育中で、どのようにリトミックを成立させるのか?は、たびたび話題にあがります。

リトミックをやりたい「私」というのが動機でないと自覚していても、リトミックの教本や、YouTubeでみて「こんなのやってみたいな」という提案の場合、さまざまな話を聞く限り、誰が主なのか?主の人の役割?サポートをする人にどこまでお願いをするのか?軌道にのるまでには、調整必要箇所がたくさんあるようです。リトミックをとりいれることで、こどもたちや、同僚の先生方、園行事準備などに支障がでてしまうと、リトミックの形も、だんだん流れていってしまいがちです。

そして、その変化が、「リトミックを教える人が、ただピアノを弾く人になってしまう」現象も起きがちです。

同様に、「動物の真似をしてみよう」という課題で、「補助役」の先生が、「ワニはこうやるんだよ。ウサギだったら、手を耳にあてないと!」と決めつけるような言葉がけをしてしまい、主として考えていた人の意図と外れてしまったという話もよく聞きます。

今日は、口頭では、ある園でのケースと、そのケースでの私がコンサルティング対処した方法についてご紹介をしました。

私が最も大事にしているのは、「誰のためのリトミックなのか?」です。こどもたちが楽しみにしているリトミックというラインは、絶対に崩してはいけないと思うし、こどもたちが楽しいのであれば、多少はリトミックの枠から外れても良いとさえおもって、手品などのお楽しみ要素もふんだんに盛りこんでいます。

次に、忘れてはならないのは、「家庭連絡」。

わたしは、記録として残す写真にも気をつけています。ほとんどの園では、「今日は、まり先生のリトミックがありました」という写真での報告を降園時、お迎えの保護者様にむけた掲示をしてくださっています。

リトミックは、単にクライアントである企業様、受け入れ園、そして指導者の私でこどもたちのケアが完結するわけではありません。ご家庭ごとに、「今日は、まり先生のリトミックの日だね!やったね!」と保護者さんたちが盛り上げての朝の登園があり、お迎え時に、「リトミックがやれてよかったね〜」と、こどもたちの家庭報告を保護者が受け入れてくれることが、こどもたちに「価値あるもの」と根付くことになると思うのです。

今日のわたしのリトミックを見学して、いろいろ真似をしてみたいなぁ〜と思うところを見つけていただいたのであれば、本当に嬉しく思います。

私のパフォーマンスのうち、ピアノ、年齢ごとに使い分けているこどもへの言葉がけ、場面転換など、気になるポイントはいくつか見つけていただいたと予想をするのですが、一番のポイントは、本日の受け入れ園の先生方との連携のやり方だったと思います。自分で言うのも何ですが、やはり長年園長をしてきたので、わたしは、「人にお願いすること」「人に動いていただくこと」が大変得意です。

元幼稚園園長ですので、部分指導案も書こうと思えば書けますが、今は4園を同じテーマで月ごとに巡回指導をするスタイルなので、主なテーマを「新聞」として情報共有をして、各園に到着後は、簡単に時間配分をお伝えするだけで、後はその場に、率直にお願いをするだけなのですが、受け入れ園の先生方は100%満足な動きでサポートをしてくださっています。園によっては、今日の園のように園長先生自らが見守れない園もありますが、長く指導をさせていただいている園では、先生方もわたしと一緒にリトミックをしていくうちに、ご自身もリトミック的な反応が素早い身体に進化、成長をされていると感じています。

このように、打ては響く動きをしていただくためには、私も「本日の主」としてのオーラもばっちり!に、できるだけわかりやすいリーダーシップをとる必要があります。今日の受け入れ園でわたしが感じているのは、先生方が、本当にわたしのどうしようもうないギャグにも大笑いをしてくださるんですよね。笑うことは、大きなエネルギーになります。注意語、禁止語も安全のためには致し方がありませんが、それを打ち消すくらいこどもたちも、大人も笑顔が溢れていたリトミックの場を体験していただいたと思います。

プライバシーの問題もあるので、本日お答えさせていただいた件に加筆をさせていただいています。

「リトミック」のチームプレイは、未来的には、こどもたちも含めてのチームプレイとなることでしょう。やればやるほど、みんな熟練してやりやすく、簡単にシンプルになっていくのがリトミックです。前の活動を忘れないうちに、次の機会を設けること。これが、「チームプレー」についてのコツ、というのをこの件のお解とさせていただきます。