4つめの園の様子は、動画にしてみました。他の子の作品の真似をしてしまったグループがいたのですが、今回は、見守り最後までやり遂げることを優先させました。後日、園サイドとフォローアップをして、自由工作時のガイドラインについて時間をかけてすり合わせをしていこうと思っています。

2023年も、各保育園にて、「楽器づくり」を指導させていただくことになりました。

お手本がないもの、キット化されていないものを材料から見繕ってつくるのは、とても高度なことです。しかも、「楽器をつくる」ということは、ビジュアルだけではなく「音がなること」「演奏すること」を考えてとりくまなくてはいけません。

「アイディアが湧く」「閃く」「決断する」ことが苦手だったり、普段から「人の真似」をすること、指示を待つ経験しかしていない子には、ちょっと難しい反面、1年に1回のこの「楽器づくり工作まつり」を大変楽しみにしてくれている子もたくさんいます。

この園では、毎年、出来上がった作品をお迎え時に「ギャラリー展示」することで、保護者様たちの関心も高いとのことで、粉ミルク缶など、保育園サイドでもコツコツと廃材を準備してくださっていて、大活躍でした。

 

4つの保育園にほぼ均一に配分した『基盤』 これを土台として、次に音の出る「パーツ」を組み合わせていきます。ここでは、縦わりのグループ3名で1個の基盤を選んで、その後、それぞれメインパーツをひとり1個ずつ。そして、装飾やプラスアルファのパーツは、必要数を申告して使用するという道筋にしました。

リトミック指導巡業で1番最初に伺った園では、通常より「たてわりグループ」での活動があり、年少、年中、年長のひとりずつで3名のグループ、そして、年長がリーダーシップをとって活動をするということが身についています。このような巡回しながら、パーツを選んだり、グループで1つの基盤を選ぶことでの話し合いや意見の調整は、経験値があることや、こどもたちなりの「この前は譲ったから、今日は強めに主張してみよう」などの塩梅も感じ取れました。

写真は、それぞれ2歳児が、開店前に遊びにきた時の様子です。開店後は、製作の補助で写真どころではありせんでした。

 

1)基盤を選ぶ(グループで1個)

2)音の出るメインパーツを選ぶ(ひとり1個)

これらの制限の中で選んだ材料をもとに、「どんなものを作るのか?」をグループで話し合って決めていってもらいました。幼児なりに、一生懸命に、話し合う様子が聞こえてきました。

そして、ここからは、私や担任の先生の大人の手を借りるところ、自分たちでできることを考えながら、また、別のお店まわりがはじまります。

3)ここは、ホームセンター 材料と材料を繋ぐ役目をするものが並んでいます。ここの材料は、「必要なものを必要なだけピックアップする」ことを説明しています。最終的には、2)のビーズの箇所では、目的もなく、ただ広げたり、掻き回したり遊ぶ子もでていましたが、「ホームセンター」で遊ぼう!という猛者はいませんでした。大事なお仕事のところ、という認識だった模様です。

 

 

4)ホームセンターの後は、任意で困った時、一手間かけたい時用の「専門店街」を設けています。

ここには、ホームセンターというよりは、都心の専門のお店に出向いてやって出会うことのできるような特別感のある設をしています。

幼児は、ここは、最後の最後の仕上げに足を運んで、悩む感じでしたが、2歳児たちは、ここのものを冷やかして遊ぶのが好きな様子でした。色がカラフルで楽しかった様子です。目でみて楽しめる材料に触れる経験も良いですね!

 

5)最後は、「まり先生の工房」です。グルーガン、電動ドリル、穴あけなどの作業や、どうしたら良いのかわからない時の相談所のような役割です。ここの園では、私の代わりに、ここの場所を任せられる先生方も育ってきているので、私は、他所も巡回指導ができました。ラボの研修に来ていただきたいとお願いしているのは、このような場面で、「楽器をつくる」という製作を一緒にしてくれる仲間の育成を目的としています。担任の先生にも、遊び心をもって、「何かをつくる」リーダーシップをもっていてくださる園は素敵ですね!

 

の6)本日の設営の全景です。写真に写っているのは、いずれも2歳児以下です。この他に、園で用意していただいた「廃材」のコーナーもあり、そこでは、ベビーたちが、かなり長時間、まったり滞在をしていました。

 

この園では、このような「楽器づくり」の工作を指導して、まる3年。

最初の年少児が、年長になって、楽器に親しんだこと、リトミックで自由な発想に触れていることで、このような想像力に富む活動ができるまでに成長しました。

巡回園では、先生方の個性もあり、展開はいろいろだと思いますが、ここでのシステムも参考にしつつ、その園ごとの「楽器づくり」の日を構成していきたいと思っています。