無事に終映いたしました!満席のお客様に見守れられて、完全燃焼いたしました!

4つの時代の音楽背景のモチーフの調査にご協力いただいた各ジャンルのミュージシャンの皆さんに深く感謝申し上げます。

「クレオパトラ」など澤登翠先生との「歴史物」での音楽デザインは、「音楽史にマッチした音像」と「公開当時(イントレランス は1917)の音楽背景」、そして建物崩壊などドラマストーリー上の情景描写の音楽をミックスするという手法が、なんとなくかたちづくられてきたような感触がでてきました。嬉しいことです。

「イントレランス 」では、1917年当時のヒットリズムとして「山の娘」(バビロン編の主人公)のサブテーマに「ケイクウォーク」を使用しました。リトミック的マニアックな趣向なのですが、「メインテーマ」(オリジナル)のビートは、表ビートで、「ケイクウォーク」はアフター(裏)ビート。拍を表と裏でとる曲が交錯するのは、演奏としても面白いのですが、映像とあわせると「山の娘」の高揚した気持ちが伝わるのではと感じました。

もうひとつリトミック的な楽しみは、1572年フランスの音背景に、拍子がある舞曲や、拍子や音階の楽典(音楽のルール)がまだ確立していない「自由」な旋律を楽しむこと。「レチタティーヴォ」は、澤登先生の説明をオペラに見立ててぴったりあわせてみました。これもとても楽しかったです。

 

=上映前の告知文=

超大作『イントレランス 』をほぼ2時間の長丁場、澤登翠先生の息にあわせて無事に添い遂げられるのか?緊張が解けない準備期間を過ごしている今日この頃です。「イントレランス 」には、楽団「ぺとら」で培った中世ヨーロッパ、アラブ音楽のスキルが多いに役立ち、楽団「ぺとら」および、そのメンバーの演奏を聴いてくださっている古楽、民族音楽愛好家の皆さんには、ずいぶんと耳馴染みのある楽曲が多数登場いたします。

『大列車強盗』は、拳銃の音をたくさんの種類、機材にプログラムしました。YouTube先生にいろんな知識を授けていただき、「拳銃ダンス」など、当時の拳銃を「ここぞ!」という時のみならず、威嚇や娯楽、虚栄などその他の目的で使われる感覚には、ちょっと驚きます。以前「肉体と悪魔」を担当させていただいた時に、「決闘用拳銃」について調査をしていたのに似た違和感を感じつつ、音程や余韻などを丁寧に耳コピをした音作りをしました。ストーリーを追うというよりも、「ニュース映像」なのかなぁ〜と感じたので、音楽も遠い目線を心がけました。

そして、待望の「メリエス作品」の登場です。

私はいわば職人楽士なので、自分で「この作品をやりたい!」という願いが叶うかどうかは「運」次第なのですが、今回は大好きなメリエスを弾ける運がやってきました!

幼稚園園長退職後、縁あって無声映画の楽士を担当させていただくことになったきっかけがジョルジュ・メリエス監督の「月世界旅行」。月が顔に、星の中にも顔、星座たちも生身の人間コレオグラフィー、要の箇所に額縁のように現れるシンメトリーな美様式。映画「ヒューゴの不思議な発明」でも、奇術師であったメリエス監督の独自の世界観に心酔していました。

「月世界旅行」は、主宰する楽団「ぺとら」で様々なスタイルで何回か公演した後、私単独での「弾き語り」上映も経験させていただきました。メリエスの監督作品は、楽士デビュー後、他にも何作か経験させていただいたのですが、その後、間があいたので、今回本当に久しぶりにメリエス作品に携わることができて感無量です。しかも、メリエス作品で初の活動写真弁士さんの説明付きです。

今作の『極地探検』も「明るく」「陽気」「おしゃれ」「くすっと笑えるようなエスプリ」そして、私の好きな「額縁シーン」は、どこからどう見てもペンギン(南極に生息)やアシカ(温暖な海に生息)に見える動物たちがお祝いのコレオグラフィーをシンメトリーな美様式で表現しています。もちろん、ここが私の一番好きなシーンです。

3つの作品、それぞれ無声映画の最初期で、異なるアプローチながら勇気と果敢なスピリットを併せ持った秀悦な取り合わせのプログラムです。「イントレランス 」、いつかは観たい名作として心のバゲットリストにある方は、この機会に是非、澤登翠先生の説明でご覧いただきたいと思います。

第755回無声映画鑑賞会

[D・W・グリフスと映画創成期]

6月29日(火曜)午後6時30分開演 (午後6時開場・終映予定9時10分)

『イントレランス』Intolerance (19:10~)
1916年 米 ウォーク・プロデューシング・カンパニー作品 (114分)

監督/D・W・グリフィス

出演/メイ・マーシュ、ロバート・ハーロン、リリアン・ギッシュ

弁士/澤登 翠

『極地探検』A la conquete du pole(18:45~)
1912年 仏 スター・フィルム作品 (14分)

監督・出演/ジョルジュ・メリエス

共演/フェルナンド・アルバニー

弁士/山城秀之

『大列車強盗』The Great Train Robbery(18:30~)
1903年 米 エディスン社作品 (9分)

監督/エドウィン・S・ポーター

出演/ジョージ・バーンズ、A・C・アバディー

弁士:樗澤賢一

演奏/坂本真理

会場/江東区 古石場文化センター
江東区古石場2-13-2  電話 03-5620-0224
(東京メトロ東西線「門前仲町駅」2番出口より徒歩10分)

料金/一般2000円 学生1600円 前売、電話&E-mail予約1500円
子供(中学生以下)1000円 会員優待券1000円
電話&E-mail予約は公演前日の午後6時まで受け付けます。
(但し、規定枚数に達した場合はその時点で受付を終了致します。)

■予約・お問合せ
無声映画鑑賞会事務局
電話 03-3605-9981 (受付時間 平日の午前10時~午後6時)
FAX 03-3605-9982
E-mail: katsuben@matsudafilm.com

※E-mail予約の場合は、「○月○日無声映画鑑賞会前売予約」、枚数、代表者のお名前を明記して、メールをお送り下さい。
E-mailにて御予約いただいた方には[予約確認]のメールをお送りしています。