2022年の保育園リトミック 巡回指導 テーマは、「オリジナル楽器実験室」、想像力豊かな楽器づくりのワークショップです。渋谷ズンチャカ https://shibuya-zunchaka.comという街全体の大きなイベント(毎年)があり、TBS系列の住宅展示場の協賛での楽器づくりワークショップを数年間手掛けていました。(都市開発で展示場撤廃により終了)

企業協賛で、お一人さまあたり¥1500の材料費が受講者様には無料ということで、朝から行列だったり、毎年楽しみにして参加される方、高齢者を含む大人の単独の受講者さま方との触れ合いの中で多くのことを学びました。

『楽器を今まで習ったことがないのですが、参加できますか?』

それは、リトミックを教えていても、本当によく言われます。

音楽に関わることは、幼少期から習い事を継続して行うだけの経済力のある家庭に育ったといういわゆる「親ガチャ」という概念も浸透している現在です。

音楽に親しみたかったけれど…。

楽器を習いたかったけれど..。

元幼稚園園長だったという経歴からか、それともなんとなくわたしの発信するものからのオーラなのかはわかりませんが、様々な方の気持ちを受け止めて、音を発する素材への気づきを褒めて伸ばして楽器をつくる創造性をサポートしてきました。

2019渋谷ズンチャカ作品集

その経験を活かして、巡回指導している保育園でも、年に1回は、ピアノを全く使わずに、「楽器づくり」の工作としてのプログラムを実施させていただいています。

写真の園は、リトミック実施2年目の園。

リトミックは、すぐに結果がでるものではありません。継続して蓄積してこどもたちの成長の糧となるのですが、日常生活の中で「想像力」が育っていることの証明にもなっているような作品たちだと確信しました。

リトミックや、想像活動に慣れていないこどもたちは、「この音はこうゆうイメージなんじゃない?」と私が声をかけても、「イメージ」するというの経験がないと、会話が成立していきません。こどもたちと想像を交えたピンポントークを経て、いろんな作品ができあがっていきます。私には、DIYの技術があり、電動や手動の工具があり、経験があります。

こどもたちも今までの経験で、目の前で「モノ作り」が行われることを飴細工職人をみるように、集中してみていきます。ご家庭での経験値もあり、危ないことや汚いと思うことに注意語、禁止語ばかり言う子もいます。

電動ドリルで木に穴をあけると木屑がでるのですが、「汚い」という子もいました。

キリの作業をしている時に、手を出そうとする子もいる。キリを使っている人を初めてみるので珍しいのでしょう。また、「つくる」ことに興味がなく、パーツを選ぶとさっさと部屋に帰りたがる子もいます。頭の良い子は、私の手元をじっくり観察して、自分なりに設計図を頭で描いている様子もありました。

かつて、私が園長をしていたむらさき幼稚園では、「ひとり1楽器」をそれぞれ製作して作品展に出したこともあります。ご家庭ごとに、長期間廃材を集めて楽器になれるものだけを厳選してくれる準備期間を持ちました。

保育園では、個人所有の製作をするのは、予算も保管する場所も難しいので、私が1年がかりで廃材や私の準備予算として使えるだけの低価格の素材を集めたものを4等分(保育園の数)して保管し、それぞれの園に運んで実施をしています。もう少し、これが軌道にのっていけば、ご家庭で不要になった「鍵」「自転車のベル」など楽器になりそうなものが園に集結できて、よりたくさんのパーツができるのかもしれません。

左から『かくれんぼシェーカー」中身はシリカゲル ユニコーンが数匹隠れんぼしているのを見つける遊びをしながら、楽器にもなる楽器です。ペットボトルでシェーカーをつくる場合は、このように左右のバランスをとれるようにすると、良い音になります。

『ハートのお城』お城みたいに見える梱包材から、イメージを膨らませました。ハートの先端には、わたしは「旗」をおすすめしたのですが、そこにいる子たちには、「旗」が理解できませんでした。コロナ禍もあり「お子様ランチの旗」が通じないこどもたちなんだなぁ。ハートのストローにハートのデコレーションをつけました。

『ボトルシェーカー』フロッグの台所洗剤は高いのですが、容器が可愛いくこどもが手に持ちやすいので、このような工作のためにわたしがストックしているものです。中身もかわいくできました。

『ガチャガチャカプセルのシェーカー』中身はなんなんだろう?こどもたちでつくってました。

『俺だけの完結 ハンドラットル』こどもたちには、それぞれ3つのパーツを選んでもらって、それを共有して楽器をつくる共同作業ということにして、私の製作机にもってこさせています。でも、彼は、「俺のパーツ」に拘って、完成形ができると言いました。基板となる棒、音がなるパーツを2つ選べました。いろんな手作りの経験があるのでしょう。輪ゴムなどは、その後、他の作業で与えたのがこっちにちゃっかり移植されている様子です。このような楽器は、アフリカなど、いろんな国にあります。「ラットル」で検索するといろんな例がみられるでしょう。

『星のサンキャッチャー』もうちょっとキラキラしたものだったらもっとサンキャッチャーだったのですが、こどもたちは、「鍵」が気に入った模様です。うちは元幼稚園なので、私のストックしている鍵は、30年がかりで落とし物で持ち主不明だったものを貯蔵したものです。鍵で遊んでいいなんて!こどもたちにとっては、禁断の世界みたいです。

『白いドラムテーブル』最初にやってきた2、3歳女子のグループ 目敏い彼女たちに、とっておきの「買った」パーツの可愛いものは、すぐにピックアップされました。私が、主なものをグルーガン で接着したのを部屋にもってかえってマジックマーカーでデコレーションした模様。卵の殻はエレベーター式になっていて、鶏が顔をだします。仕掛けに、下にコルク栓を仕込みました。コルクにドリルで穴をあけると女子たちから悲鳴が!良い経験をしましたね。
左 『ピアスホルダー』プラスティックのビーズカプセルに紐を通して、こどもたちが自分で括りました。これらの楽器たちは、1ヶ月のレンタル中は、自由にして良いので、アップデートでいろんなものがぶらさがっていくんじゃないかな?

『オーシャンドラム』箱や丸型のザル、両面太鼓のフレームドラムの中に、ビーズや鉄球をいれて、波の音を感じる楽器がオーシャンドラムです。箱でも感じられるかな?

『輪ゴムのモノコード』木篇に電動ドリルで穴をあけて、電動ドライバーでビスを打っていきます。ラボでは、もっとハイパワーの電動工具を使っているし、それぞれ専用のものを使っているのですが、こうした移動屋台のような現場では重いので、先端をいちいち取り替えて、まり先生は悪戦苦闘中。それがうけました!おもちゃ楽器には、ナイロン弦などで、こんな簡単な「モノコード」「〇〇コード」がいろいろあります。1個の弦でやるのが本筋で、モノになります。これは、モノじゃないけど、家で検索しやすいようにモノコードにしておきますね。

『緑のミニオンの城」真理先生は、風船に1個だけ目をつけて、ミニオンのキャラにしたかったのですが、こどもたちが、2つの目を要求しました。名前だけ、ここではミニオンにしておきますね。まり先生の工具箱には、いろんなサイズの目があります。こちらの城は、戦闘用の要塞のようですね。紐を選んできてと促したら、皮素材のものを巻いてきました。このような想像性、いつかどこかで花開きますように。おむ
各園との、リトミックの後は、「こんな楽器を使いました」など、エントランスに掲示や写真を出してくれて保護者の皆さんに家庭連絡をしてくださっているのですが、この園ではお迎え時にギャラリー展示をしてくださいました。こどもたちがピックアップしたものを個別写真撮影した園もあり、それぞれこどもたちのひとりひとりの関わりを大事にされている園の対応に感謝しています。