【6月からのラボの体制のリニューアルについて】

2022年6月より、むらさきmusicラボは会員の種別によっては、「クラス(1時間)」や「クラブ(2時間、保護者なしの学童のみ)」をポイント制限内ならホッピングするオープン受講スタイルにリニューアルしました。それにともない、私の当日のプログラム準備を簡略化、および少し会員からの「知りたいニーズ」に寄り添おうと思って、楽器棚から「ご自由にお使いください。ただし、元のところにお戻しください」スタイルを「アンサンブルクラス」(大人、こどもを問わない対象のアンサンブルの日)と「ホリデーリトミック」(パパ参加ウェルカム)のあわせて月4回は実施することにしてみました。先日の火曜アンサンブルクラスと、日曜の本日の「ホリデーリトミック」でやった感触と、参加者の皆さんが興味を持った楽器について、こちらに紹介したいと思います。

【楽器の仕組みを理解してから触りましょう!】

ちょっと前置きが長くなってしまうのですが、園長時代から近隣の小学校などに打楽器をいっぱい持って「楽器に触ってみよう!」という体験学習をやっていたのですが、2016年にラボを設立してからは、「リズムクエスト」というプログラム名にして、保育園、図書館、公民館と年単位のレギュラー公演だけでも6回、そして単発のご依頼でも人気コンテンツとなっています。今年は加えて新たに普段から音楽の勉強をされている方むけのマスターコースとしての「リズム道場」という楽器体験プログラムを始動予定です。ざっくりいうと、まり先生はラボだけではなく、いろんなところに楽器を持っていっていろんなことをやっているわけです。

それで、そんな時に一番困ること。こどもたちや、担当の先生には、いっぱい注意事項をお伝えしていて、楽器がされて嫌なことなどを事前に共有できているのですが、そこの場にいる通りすがりの違う学年の先生とかが、「ひょい」とアフリカの太鼓、ジェンベとかが気になって、胸ポケットにささっていたハサミやボールペンで、「トン」っとどんな音かを鳴らして満足して去っていく….。みたいなヒヤリ事件がおきることがあります。もし、ボールペンからインクが出たら!もし、ハサミで皮が破れたら!その時には、大事にはいたらなかったのですが、その楽器ごとに、いろいろと事情が異なります。わたしも自分が普段扱わない楽器には、無知なことばかりなので、その先生の好奇心は否めないのですが、場合によっては楽器が傷つくことは逐一、発信していきたいと思っています。

ラボでももちろん、楽器が辛い目にあうこともあります。下の写真は、ラボの楽器棚にあったもので壊れてしまったものなのですが、「本来はこうゆう使い方の楽器だったけれど、間違えた使い方をしたら壊れて音がでなくなってしまった」ことを伝えるために、保管しておこうと思っているものです。

1)左の緑の丸い筒は、「牛の鳴き声」の出るおもちゃです。起き上がりこぼしのように傾けると、中の吹子が伸び縮みして、アコーディオンのような作用で牛の「モォ〜」といった音がでるリードから音がでる仕組みです。はじめてこの楽器に出会った人が、「おきあがりこぼし」という発想がなく、振ってしまったために、土台の粘土が割れてしまい音がでなくなりました。粘土が割れたので修復ができずに、このままです。

2)サンダードラム ラボには全部で4つのサンダードラム(雷の音)の楽器があり、そのうちの最も小さいものです。コイル(針金)が巻いてあるのを、音を出す作用はきっと「ひっぱるはず」と素直に引っ張ってしまったのでしょう。音が鳴る共鳴板の密閉がなくなり隙間ができたことで、修復ができません。大きいサンダードラムなら、コイル部分を繊細なビーターなどで叩く手法もあると思うのですが、これくらい小さいものなら、揺り動かすだけで、十分な雷の音が出すことができました。ひっぱることで、コイルが伸びきってしまうこともあるでしょう。

上記の壊れてしまった楽器たちは、今回の改編によることで壊れたのではなく、わたしの想定範囲をこえた扱いをした事故で壊れたものです。

音を鳴らす役割から、「こうしたら壊れるよ!」という説明の役目をすることになります。

今まではあらかじめその日のプログラムを決めて、わたしがテーブルにセットしたものを順番に体験し、セッション終了後には、わたしがそれを仕舞うという流れでした。

でも、今回の改編により、当日のオープン時間までわたしには誰が来館するのかわからないので準備をせずに、「セルフ」に切り替えて、質疑応答をその都度する方式を今は試しているところなのです。デメリットももちろんあるでしょうが、興味の分散や時間配分、待ち時間の短縮や片付けの協力など、メリットもあると思っています。外部公演では、従来どおり、最初に説明をする限定内での体験を継続するつもりです。

【博物館のお手を触れないでください展示】

一般的な展示では、入館料を払っても、触っても良い楽器が少量か全く設定がないことも多いと思います。でも、それは、観覧車が不特定多数で、どのような展開があるのかわからないからなので、ラボのように会員制の場では、その楽器のことはわからなくてもほかの楽器経験などから、ある程度、扱い方を想像できたり、わたしに気軽に質問することで、「自分が知りたい順番」「気になったもの」を手にとることができると思っています。

ラボのメンバー(大人)の中には、

「まり先生、これを系統だてて動画にすれば、もっと仕事がくるのでは?」と言ってくださる方もいましたが、まり先生は、もうこれ以上、仕事を増やすのは無理なので、ラボの子たちが満足をしてくれたら良いと思っています、系統だてて、端から順番に紹介すると、今度は欠席者のフォローもしなくてはいけなくなるので、みんなが興味を持ったその時、都度に紹介するやり方で、少し様子をみようと思っています。

【本日、興味をもたれた楽器、選ばれた楽器たちの紹介】

ドラムで有名な「パール社」製品 パンデイロにアゴゴベルが合体したブラジルのリズムをひとりで合奏のように楽しめる楽器です。パンデイロを振って叩く技術があると、やりやすい楽器かと思います。
MEINL 社製品 サウンドエフェクト Hanging Finger Cymbal  わたしは、「フィンガーシンバルツリー」と呼んでいます。スタンドに吊るして、トライアングルのビーター(金属棒)で上からシャッとなでるようにかすめると、研ぎ澄まされた北風のような音がすると思っています。
カエルギロ   小学校の音楽室にもある「ギロ」は、洗濯板などでも代用ができる擦る楽器で、それが蛙の形をしているものです。ラボには、ギロの仲間は、小学校にある「ラテンギロ」、LP社のちょっと良い「グィロ」それから、「アルゼンチンタンゴ」にも使われるもの(楽器名は失念してしまいました)、ブラジルのサンバ楽器の「ヘコヘコ」はいろんな大きさのものがあります。前述の「サンダードラム」もそうですが、ラボの楽器は、こどもたちが「楽器は科学」という学習ができるように師匠の故小澤敏也さんが選んでくれたものと、まり先生がいろんな国のお土産で買ってきたもの、幼稚園のベルマーク活動でみんなでがんばって購入したものなどが混ざっているので、「図鑑」的には系統的にはまとまらないのですが、こんな風に「ギロの仲間、集まれ!」という特集ページ的には納得のラインナップになっています。
本日のマイセットアップ S君の場合 無声映画楽士でもある「まり先生」は、食卓ベルをいくつかの音程の必要性で集めてしまいました。音程だけではなく、映像の中で「メイドを呼ぶ音」だったり、初期の蒸気機関車の付属品だったりと、質感も大事なので、アンティークショップをパトロールしたりして、良いものがあれば入手してしまっています。そんなベルのうち、彼が選んだのは2つ。そして、ピンクの皮は、フロリダのウォールト・ディズニー・ワールドの「モロッコ館」で買ったものです。これも無声映画で「猿回し」のシーンで使ったことがあります。

【雑感】

例えば、前述の「サンダードラム」の下コイルをそれが正解と疑わずにひっぱったとして、ラボならばわたしがすぐ側でみているので、ストップして「これはひっぱらないで振ってみて」と言うことが物理的にも、人間関係的にも言える。これは、今の時代、とても貴重なことだと思うのです。ネットで解決、困りごとは「Yahooちえ袋」で見知らぬ人に答えてもらう時代です。事前に伝えていなかったことは、「スタッフの不手際」とされて、例えお店の商品を破損させても、「注意書きが掲示していなかった」ことで免責を訴えることも可能な時代に、今、我々は生きていて、子育てをしている人もいると思うのです。でも、昭和の時代には、「これをこうやったら困るひとがいるだろう」「あとの人のことを考えて、ここまでにしておこう」という暗黙のルールがありました。「お一人様◯点まで」という事前告知がなかったために、みんなが欲しかったゲーム機が、長蛇の列で前日や早朝から並んだ人もいたのに、先頭にいた外国人に全部買われてしまったとか、時代がどんどん進むうちに「事前に注意をうけていなかったこと」は、全部、自分のせいではないことになってもきている気もしています。ラボは、会員制で家族的な集まりの集団ですから、こどもたちやご家族に、まずはいろんな経験を楽器を通してしていただいて、「こうしたらこうなるかな?」という想像力を働かしながら、音の体験を積み重ねていってほしいと思っています。

幼児や、ビジターが混在するクラスでは、従来通り、楽器棚をクローズして、わたしが事前にプログラムを組んだものを紹介後に、体験という流れも並行してやっていくつもりです。でも、私が紹介する前に「これって何なんだろう?」って、楽器を手にしつつ悩む時間も尊いと思っています。

また、順に紹介をすると、順番を待つ時間や、それぞれの体験時間が短くなったり、幼児だと「交代っこは嫌だ!」「僕の!」という展開にもなりがちなので、ラボはラボなりのやり方をみんなで考えていけたら良いと思っています。

そして、10数年後。ラボに通えたこどもたちの記憶の中で、ラボのシステムは、ひとりひとりのことを考えてつくられていたことを思い出にしてもらえたら嬉しいと思っています。