=追記 この投稿は、当時の状況に基づいているものであり、現在は手元を離れているシェケレなど、現在の在庫と名称が多少異なっていることをご了解ください。=

ラボでも、昨年末から「ビーズ」に親しむ活動をたくさんしています。

ビーズの楽器といえば、『シェケレ』(shekere)が思い浮かびます。アフリカ由来の楽器ですが、ブラジルの宗教儀式やマラカトゥ、キューバ音楽、そしてジャズのステージではあったかみのある表現の振り幅の広いパーカッションとして大事に使われている楽器です。

【1】=はじめに=レッツ材料集め!

瓢箪に糸でビーズ、種子、豆、貝、ピース(木片など)を結んで固定するのですが、その結び目を振るだけの余裕(あそび)をもたせることで、シャカシャカ音と振るエナジーとの関連性も変わりますし、そもそも瓢箪自体が自然物なので、ひとつとして同じものはありません。ビーズとの相性、糸滑りの相性などで音もグルーヴも全く違うものになるのは面白いなぁ〜と思っています。

いろんなご縁が重なって、夏のワークショップ向けのデータ採りもかねて、手作りおもしろ楽器としての「シェケレ」を何種類か作りました。夏休みにはラボでも「シェケレワークショップ」をする予定なのですが、自分にぴったりのビーズや糸を吟味して揃えるのには時間がかかるかもしれないので、自分でシェケレを作ってみたいと思っている方、こちらの記事の材料データを参考に、コツコツと材料集めに励んでくださいね。

【2】

1)ブラジル製 シェケレ 

師匠 故 小澤敏也所蔵だったシェケレです。これが私にとってのスタンダードとなります。黒いプラスチックビーズの穴はかなり広めです。糸は細めで滑りの良いナイロン混紡の糸だと思います。これは黒面のみですが、セーターの柄編みの要領でブラジル国旗など編み込むものもあります。製品は、それなりの値段がするのは、やはり手編みの工賃もあると思うのですが、「シェケレ」になれる瓢箪は自然物なので、雨の多い年には大きくならずに出荷できない場合もあるそうで、こうして楽器になるまでにはとっても大変な道のりがあるのだと思います。とにかく、こうやって美しい楽器をつくった職人さんたちにリスペクト!な楽器です。

ちなみに、楽器棚に収納時には、こんなクシュクシュのカバーをつけています。ハロウィンの仮装用の宇宙人カツラ(IKEA)です。ゴムシャーリング糸が使用できるミシンなら、自作可能かと思います。

2)手作りきままお着替えシェケレ ゴン太君とカラフルパッチワーク君 

今はコロナ禍でライブがないのですが、ブラジル系大所帯バンド「バンダ・ショーロ ・エレトリコ」

のライブの時に師匠が遺してくれた瓢箪に、大きなビーズをつけたものを使用していたのですが、もっと細かな表現がしたくて、パッチワークのようなその部分ごとに違う音を感じるものを作りたくなって、気まま、気ままにその時に目についたビーズを編んでみました。お気に入りは、底部分の細かいチャリチャリした音。お気に入りのブラジルジャズのパーカッションの方がシェケレを愛しそうに底を撫でるように演奏されていたので、そんなプレイをしてみたかった。

実はこの瓢箪にはお着替え用のビーズも編んであって、それが「ゴン太」君。月1であがた森魚さんの野外イベント(王子駅飛鳥山公園)にお誘いいただいたので、公園で遊んでいるこどもたちに「あ!あれは何だ?妖怪か?」と目をひいてもらえるように、上部分の麻糸がゴムのように跳ねて「できるかな?のゴン太君」みたいな友達つくり用のシェケレを編みました。同時に、これは胴まわりがベルト程度しかないのでスピード感があって、ビートがかなり正確に叩き出せます。

ライブ演奏や、録音ではカラフルパッチワーク君にご指名がかかることが多いです。パンデイロと同様、ひとつの楽器でいくつものニュアンスがでるというのは、聴く側にとっても面白いのかもしれません。

3)ダイソーニュアンスビーズ

一般の方向けのワークショップ用に材料調達のデータをとるために、入手しやすい「とっくりサイズのひょうたん」に、100円ショップで入手できるプラスチックビーズで作りました。

・ビーズ ニュアンスビーズ X12個 ビーズ代だけなら、¥1200プラス税ということになります。

糸は、後述する上記の着せ替えライブ用のシェケレを同じものを使いました。スネアドラムをリムショットしたような甲高いスマッシュ音です。

プラスチックビーズは均一に穴が開いているので、糸をただ通すだけ!なので、これは合間合間にやりつつ半日で完成しました。瓢箪を置いているベルベットの黒い丸い輪は、綿をいれて自作しました。これがないと自立して立てないところ。自然出身で可愛い瓢箪です。

4)赤瓢箪シェケレ

むらさき幼稚園のおゆうぎ会の劇「西遊記」で劇小道具として登場したりと、私にとっていつも幼稚園の倉庫にあったお守り地蔵のような瓢箪には、真っ赤なウッドビーズ、真っ赤な糸で多少の面倒は覚悟で丁寧に編みました。

プラスチックビーズでは、ただ穴に通すだけですが、安いウッドビーズは、穴が均等ではないので、1個ずつ「ピンバイス」で穴を整えます。糸も先を木工用ボンドで硬化させてつつ…。とても手間がかかりました。そして、皮革用の特殊加工でない普通の糸の場合、解くのがとても面倒!針をさしてほどくことになりました。偶然、携帯用の針刺しも赤でした!(笑)

5)小さいスノーホワイト

マグカップサイズの瓢箪(上部はセルフカットして、中身もくりぬきました)

ビースは、ダイソーのチェコビーズ

=糸について=

【3】【糸 皮革工芸織物用 エスコード 麻手ぬい糸 中細】

上記 2)、3)使用糸の説明です。

初心者の方、お子様、シニアの方に最もおすすめの糸です。私のアイディアでこれを2色、違い違いにすることでミスが減り、ほどき直しの手間も省ける方法もワークショップでは伝授いたします。

糸の長さは、瓢箪よりも1.5倍は長く切らないと結び目の部分があるので長さが足りないことになります。だからといって、無駄のない長さの束をおおよそ50本切るのは大変なので、その点、このように糸巻きではなく、束になっている糸は一回カットで済むの楽かと思います。長さが足りないとどうにもなりませんが、長過ぎる分には後で切れば良いので、企業としてコストカットに励む責任のない個人的な趣味でつくる楽器ならば、これが楽かと思います。)

【糸 組紐】4)赤瓢箪、赤を使用 1束

【ボタンつけ糸 20番 ダイソーで購入したもの】5)スノーホワイト 2巻

【4】=手順と便利な道具編=

1)定規 糸の下準備をする時、私は定規を型にして、ぴったり同じ幅にしています。小さい瓢箪には、幅の狭い定規にしています。

2)トレー ビーズが散らないようにするのにはもちろん、糸を切る時のガイド役としても重用しています。これは、ツールケースの蓋なのですが、幼稚園時代からずっと私の相棒です。

3)先細ハサミ 紙用ではなく糸を切る専用のものが使いやすいです。針仕事用の手芸ハサミも可。一緒に写っているのは、凧糸を小さい瓢箪用のガイド定規で結んでいるところ。

4)ミニ洗濯ハサミ 慣れてくると不要ですが、ビーズの数を決める時、仮止めができて便利でした。

5)糸のガイドの定規を外したところ ここが均一でないと、たぶん音のコントロールが難しくなると思います。

6)ビーズを通して、円周に並べて、動かしつつビーズの動きをみてその径にふさわしい数を決めます。

7)上からみてみて美しいか?

8)揺らして振ってみて海の蛸さんが泳ぐようなシルエットになれば、きっと良い音がするはずです。

9)底まで絞ってみて、またバランスをみます。

10)丸いもの 編むときも、一時置き用にも丸いものが必要です。上は塩が入っていた丸ケース。

PLAZAのキャラメルポップコーンが入っていた丸ケース

思わず目をつけたくなりました。「こんにちは。仏陀です。」

その他、丸いものコレクション。黒い別珍布の円座は自作です。ゴム製は、別の楽器「ウドゥ(インドの壺太鼓)」用、小さいのはダチョウの卵の陳列用(南アフリカ製)、植木鉢カバー、あとクッキー缶も使っています。

11)編みやめるところを決めるためのバランスとり。音の鳴らし方には、振るのと底を叩くようにするのがあるのですが、底音をきかせたいときには、短めで。JAZZなどで、底をジワジワ音として使いたければ、長めたっぷりめが良いのでないでしょうか?(私感)

12)最後に底糸をつける前に、最初と同じように、定規でガイドしてビーズのない結び目をつくります。

もちろん、瓢箪のサイズによって、ここの長さもかわるので定規ごとかえることになります。

13)瓢箪の調達について

自然物なので、一番難しいのは瓢箪の調達です。私もいろんなところに声をかけていますが、できる限り自分の瓢箪は自分で入手してもらう方向の方が良いと思っています。ネットでも入手できますが、瓢箪の栽培には手間がかかるので、皆さんが思っている以上に値が張るものです。一方、実家帰省時に、倉庫にひっそりとあったりするものかもしれません。楽器になるような大きな瓢箪は大変貴重だし、そして、シェケレになってもとても割れやすいものにはかわりありません。

材料費を含む参加費を設定し、複数の瓢箪を並べて選んでもらう方法もあるかと思います。そんな時には、ちょっと着手して気に入らないからチェンジ!みたいな瓢箪を育ててくれた農家さんに失礼なことのないようなしっかりとした説明をしたいと思っています。

時間的にも1回のワークショップで作品が完了できるのではなく、お仕事をされながら余暇時間で1週間くらいはかかる根気も必要です。ビーズや糸を買い揃える時間も含めて、じっくり自分のサウンドを表現するツールとしての「シェケレづくり」に関わっていきたいと思っています。